それはそれはとても急な話だった。




水神サンの写真の実力は
海外からも注目されるほどだった。





また編集部のほうでも才能が認められ、
アメリカの有名企業からオファーがきたらしい。




写真も編集の才能もあるときたら
王手の企業が放って置く訳がない。




「出発は来週なんだ。」




そう言われた。




あまりに知るのが遅すぎた。




「今週いっぱい仕事で出られないから
 編集部にきてくれないかな?」




「はい、わかりました・・・。」




いつが言いかと聞けば、
いつでもいいよと笑って答えた。




ウチは何故か笑えなかった。




誰よりも知っている別れが
辛くてどうしようもなかったから。




電話を切ったあと、
心はまた黒い雲に包まれた。




離れられない・・・この寂しさ。




また襲い掛かってくる。