そこにはずーーっとずっと
会いたくて会いたくて堪らなかった




奏斗がいた。




重いエナメルバックを抱えているのに
ウチのところまで急いで走ってくる。




ウチはただ呆然と立ち尽くしていた。




向かって来る奏斗を
目で追うしか出来なかった。




さっきまで澄んでいた世界は霞んで
奏斗の姿もぼやけていく。




さっきまで遠くにいた奏斗は
もうこちらにいて彼の腕に包まれた。




「稀緒、ゴメン・・ゴメンなぁ。」




力なく奏斗は呟いた。




何で奏斗が謝るの・・・?




自分の声で泣いてる事に気づいた。




「そーとッ?ゴメンね・・・。」




奏斗が修大の寮に入る時も
大事な時に一緒にいられなかった。




「素直になろうって思ったけど、
 全くなれなかったの・・・。」




「稀緒、もういいからッ。」