そんな中で口を開いたのは和馬。




稀緒と同じ写真部の部員。




「なぁっ、奏斗っ!」




今度は一斉に目がそちらへ向く。




梨穂が珍しく叫んだ。




「ちょっ、深岸っ!!」




でもそれも遅かった。




「修大付属、行くの?」




机に荷物を入れていた俺の手も止まる。




いつも視界に入るのはお前なんだ。




稀緒の表情をいつも俺は窺ってる。




その時の稀緒の表情は忘れない。




驚きと怒り、悲しみが雑じっていた。




誰かがハァッと溜息をついた。




「奏斗っ、本当・・・?」




穏やかな空気は一斉に取り払われた。