「待てって、稀緒!」




ウチはまた奏斗には敵わないんだ。




「落ち着けってば。」




そんな言葉今のウチには右から左。




「・・・ぅぅ゙―ッ・・・。」




「稀緒、泣くな。」




奏斗はそう言ってウチを抱きしめた。




何故か安心する。




この温もりがあたたかい。




「そ・・ぅとッ、ゴメン。」




「黙ってろよ。」




君はまた闇から救い出してくれるんだ。




でもウチは君に何もできない。




いや、違う。




何もしようとしないんだ。




ウチはまた君の手を離してしまうんだ。