でもそれも今日までだった。

私は何処か遠くの町、いや、土地へ引き取られる事になった。

都会だろうが田舎だろうが、そんな事にはもう興味なかったけど。

そして、今まであまり話しかけてこなかった飼い主はただ一言。



『元気でな。』



それが、私に対する別れの言葉だったのか分からない。

でも私は産まれてから既に、五年はここで過ごしていた。

そろそろ引退の時期だったのだろうか。

そんな考えも忘れ、私は同じ時期に産まれた親戚や兄弟と、大きな車に乗って、

遠い土地へ旅立った。