「あー、そうだ」
「?」
「明美の兄ちゃんが、今日の放課後近くの喫茶店で話したいってさ。お礼を言いたいとか言ってた」
「…あー、わかりました」

これ言うために来たのか。

ていうか、兄貴と二人って…緊張する。

「頑張れよ」

そう言って手をふりながら先輩はいなくなった。

相変わらず綺麗な茶色い髪だったな
女が騒ぐのもなんとなくわかる。

「菜穂以外、見えてないんだろうけど」

俺は菜穂も明美もいなくなった
場所を見つめる。

菜穂と先輩みたく仲良くなる、か。

なれる日がくるまで、時間はかかりそうだな。

まぁ、なってみせるけど。

俺はそんなことを考えて
近くに咲いていた桜を見つめていた。