そのつかんでいる手の方向を見てみると例の王子様だった。
ついつい振りほどこうとしてしまったが生徒会長なので
「どうしましたか」
と微笑みながら聞いた。するとむこうは
「学校、案内してくれますか。」
と倒れそうになるような王子スマイルで聞いてきたので
胸が大きく鼓動を打っているのを感じた。
ただ生徒会のほうの仕事もあるので休むわけには行かない。
「すいません。私生徒会長として生徒会のほうの仕事がたまっております。申し訳ありませんが他のものを手配いたしますので少々お待ちください。」
といって教室から出ようとしたとき
「まじでお前生徒会長なんだ。」
と人をばかにするような声が聞こえた。まさか王子ではないと思って振り向くとやっぱり後ろには1人しかいなくて
びっくりしている私に
「俺をおいてくとかばかじゃねぇの」
と言葉を投げ捨ててこっちへ向かってきた。
だんだんと近づいてくる。とうとう逃げ場のなくなった私は机に足をぶつけた。
そしてもうだめと思った瞬間
ちゅっつ。
初めての感覚が唇を襲う。