普段なら絶対こんなやつの前でないたりしないのに。

それでもこの涙はさっきとは違ううれしい涙だから。

その安心をくれたのは慎也だから。

だから思ったの。

今日くらいは泣いてもいっかって。




それからあいつに抱きつくように体の水分が枯れるまでないた。


こんなに泣いたのはいつ以来だろう。


あの男に襲われた日以来かもしれない。





あの日私は誓った。

強くなろう。

男にだって負けないくらい強い女になる。

だから泣かないんだと、

それでもこうして私は男という一番嫌いなものの前で泣いている。



なんだか悔しい気もしたが、それ以上に安心のほうが大きかった。


私が泣き止むとあいつはそっと私を抱きかかえて


「ここだとあれだしあそこの公園行こう」
といった。