最初は。
出会ってすぐはそう思っていたときもあったかもしれない。


でも、今は。
常陸はいつでも“常陸”だから。
ヴァンパイアだとか人間だとか関係なくて、私にはただの男の人にしか見えないよ。


…そういう気持ちを込めて私もお返しだと言わんばかりに常陸を抱き締めると、私の腕の中から小さく息を吐く音がした。



「貴様は馬鹿な女だな」


「…馬鹿でいいもん!」


「………そうだな。そうじゃなきゃ、俺が困る。今更なかったことに、なんて言われでもしたら、気が狂いそうだ」






………その言葉と同時に常陸は立ち上がり。
私の首筋に顔を埋めると、丹念に舌を這わせ出す。


触れる舌の熱さに、私の身体も一気に沸騰する。