「そうだ。…透子が好きになったから、だから呪いが解けた。熱を出した翌日、目が覚めたときにはもう俺はヴァンパイアに戻ってたんだ」
そう言って、私の身体に頬をすり寄せて。
…私の存在を確かめるみたいな仕草に胸が熱くなる。
でも常陸は、そんな私に気づくことなくしっかりと抱き締めたまま話を続けていく。
「…血に飢えて、その欲望に負けて。化け物に成り下がった以上は透子のそばにはいられないと思ったんだ。できることならあのままずっと、ただの“常陸”として透子のそばに、いたかった…」
―――その声の、張り詰めかたに気持ちが決壊して、たまらなくなって。
「と、…こ?」
「―――でも、常陸がヴァンパイアじゃなかったら私たち出会えてない!だからそんな風に自分のこと言わないでよ…!」