次の瞬間、おもむろに私のドライヤーを持っていないほうの手を取り、常陸はそこにキスをする。


あのときと、同じだと思った。
…無意識だったんだと思うけど、熱を出した常陸は私の手を握って。人肌の温もりに安心したのかそのまま眠ってしまったんだっけ――…






「そういえば、透子にはまだ教えてなかったな。俺の呪いが解けた理由を」


ドライヤーはとっくに終わり、近くにあるテーブルの上に置いたところで常陸が思い出したようにそう告げるから、私は思わず動きを止めてしまう。



「…透子?どうした」


「ううん。………ずっと気になってたから。…私の前から消えたときは、もう呪いは解けてたんだよね…?」


おずおずと確認すれば、返事の代わりだと言わんばかりに常陸は座ったまま私を抱き寄せた。