…綺麗だと思う。


長い髪を一つに結っているその姿は女の人みたいなのに、喉仏とか指はごつごつしていて、常陸が男の人であることを示している。
そう思えば思うほど声をかけづらくなって、私がその場に突っ立っていると不意に常陸がこちらを見た。



「…なんだ。戻ったんなら声をかけろよ」


「い、忙しそうだったから。邪魔なら別の部屋にいるから」


見とれてた、なんて恥ずかしくて言えない。
慌てた私が踵を返した瞬間、背後からそっと腕が回され。



「―――そんなこと俺は許さない。…透子がいなくて退屈だったから執務なんてしてみたけど、止めた」


そういってそのままベッドそばまで連れて行かれ、そのまま倒れ込むように二人で寝転がると常陸は私の上にまたがった。


その拍子にスプリングが軋む。
見上げれば熱のこもったまなざしで私を捉える常陸の顔があって、それだけで私の心臓は一気に心拍数を増していった。