「…無茶、させたな」


伸ばされた手が私の頭を撫で、頬にするりと移動してきた。
心底申し訳ないといった表情をする常陸に私は首を振る。



「私こそ、………あ、あんなの、初めてで」


「そうか。…じゃあ早いところ慣れてもらわなくてはな」


「…!な、何言って」


話しながらもその指先を頬から唇に移動させながら笑う常陸。
今更ながらかなり整った顔立ちの常陸がなんだか嬉しそうに笑うもんだから、私の心臓がキュンとなる。



「―――少しだけな」




そう言って、重なる唇。
いたわるようなキス。


…幸せだ、って思う気持ちが触れ合った唇から伝わってくれればいいと思った。