「ねぇ、麻里香。アンタ、彼氏はいないの?」
「いるわけないよ、千佳ちゃんのような美人ならともかく…」


ふぅーん、と千佳ちゃんはアイスティーをすすった。


「千佳ちゃんはいんの?」
千佳ちゃんはクスリと笑った。千佳ちゃんの笑方の癖。


「いるけど?」
「誰?あたし、知ってる?」
「鈴木悠斗」


千佳ちゃんの細い指がグラスをなぞった。


千佳ちゃんは中学生とは思えない。高校生でもいける。
見た目だけじゃなくて、中身もそうだった。



女のあたしがゾクリとしてしまうほど、あたし達とは世界が違うの。


「鈴木悠斗って、西浦翔親友の?」
「そーよ」


鈴木悠斗、この名前を知らない人もいないだろう。
西浦翔といるからとかじゃなくて、このひとも顔はいいしなんでもできる。
たぶん西浦翔程ではないと思う。


そしてまた、どこか千佳ちゃんと似てた。


「あたし達、結構前から付き合ってるの。小5からかな。
色々あってね……」


何があったのか気になったけど、踏み込まなかった。
あたしの悪い癖、嫌われるのが怖いだけ。


「それで、西浦翔ともなかがいいんだね、千佳ちゃんは。」
「まぁね。麻里香は本当に翔が嫌いなの?」


隣の彼を思い出す。


「嫌いってより、苦手なだけ。なんかオーラが怖いんだよね」
すると千佳ちゃんは笑いはじめた。
爆笑っていってもおかしくない。


「何笑ってんの?あたし、おかしいこと言ったっけ?」
「別にー、翔可哀想な奴って思ったの!」


千佳ちゃんの目には涙が溜まってる。
そんなに爆笑する事言ったつもりなんてないけど。