中学校に入って、早一週間。

あたしはまだ、一人でポツリと
座っていた。

みんな結構グループとか作っちゃってて、
あたしは取り残されたような気がする。


はじめて着崩した制服はまだビシッとしていて、
嫌でも背すじは真っ直ぐになるもの。


そんなあたしが座ってるすぐ隣では
ある男の子を囲んで楽しそうに騒いでいる。


西浦翔、名前からしてどこか気取ってるイメージ。



顔は抜群にいい、性格もいい、スポーツも良くて頭もいい。



入学してから彼の噂で持ちきりだった。


でも、あたしは嫌い。うるさいし、バカっぽいし。
みんなに囲まれてキャーキャー言われて
なにもいい事なんてないじゃ無い。



人間関係にこだわらないで勉強に専念してれば
いいだけの事。


新入生テストまでもう少しだからテキストを開いた。
その瞬間、目の前のテキストがなくなった。


「……⁈」


誰かがぶつかり、机から転がったテキストは
踏まれてぐちゃぐちゃ。


西浦翔の側に居た女の子のせいだった。
「あっ……。」


最悪な事にテキストは西浦翔の近くに落ちてて。
なんだか涙が出そうだった。


こんなはずじゃ、なかったのにと。
「はい。テキスト、ぐちゃぐちゃになっちゃった。誰よ、
謝れっての!」


凄い短いスカートと、綺麗な茶色ろ髪の毛。


「ありがとう、九条さん…」