PK勝負は、

俺の負け…

「坂本君には敵わないな。」

ゴールに駆け寄った俺の言葉に、坂本君は複雑な表情を見せた。

『真剣にやれ、言うたんお前の方やろ?
なんで手抜きすんねん。』

……今日、はっきりさせたかった。

「…もう、やめるから。
玲を好きなのやめる。」

坂本君は、ため息をついた。

『お前は好きとか、やめるとか、
なんでいちいち俺に報告すんねんな?』

…なんでって。
分かってるだろ。

最初っから。

「先生が玲を好きだって、分かってたから。」

グランドの向こう。
まだ玲が居て、俺らを見てる。
坂本君も玲を見た。

『…なんで、そない思う?』
「分かるよ。どつかないじゃん?
玲だけ。」

あいつを見る目は優しかったし、
玲にだけは、触れてなかった。

結局1人で悪あがきしてただけ。
ガキ扱いしてた玲の方が、いつの間にか大人になってた…


特に否定もしないまま、坂本君は最後に言った。

『明日の試合、手抜きしたら怒るからな。』