「…送るから。」

練習終わり、片付けしてる玲に声かけた。
少し考えてうなずいたのを見てから、俺は着替えに行った。

玲は、キスしたことを責めたりしなかった。
怒ったり、泣いたりしてくれればいいのに。

このままじゃ、俺だけが我儘なガキんちょみたいだろ…


支度が終わって部室を出たら、玲は少し離れたとこに居た。

坂本君と何か話してた。
近寄って聞いたら、
遅くなったから送り届ける、って。

玲は、『奏ちゃんと帰ります。』って断ってんのに。

「先生、なら俺もついでに送って。」
横から口を挟んだ俺に

『アホぉ!
都合のエエ時だけ、先生呼ぶな。
お前らはランニングで帰れ!』

そう言って、はたかれた。

玲は一度俺の方を振り返って『ごめん、』って表情をした。
それから、向こうに歩き出した坂本君の後についてった。