「憂焔の髪は赤いのね。めずらしい」
「お前のほうがよっぽど珍しいと思うけどな。というかあり得ない」
ハルの銀色の髪を見て、憂焔はこの髪は本当にどうなっているんだとハルの髪に手を伸ばした。
煌めく銀色が、さらさらと憂焔の指を通っていく。
銀細工のようにこんなにきらきらとした髪を持っている者はどこを探したっていないだろう。
ハルは首を振った。
「そんなことないわよ。カオルもトオルも、あたしと同じ色だもの」
「それは…」
人間じゃないからだろう、という言葉を飲み込み、ハルの髪から手を離した。
「トオルっていうのは、初めて聞いたな」
「そうだっけ。トオルは鈴なの。鈴王のところにいると思うんだけど…、よし、できた!見て見て!」
憂焔の髪をいじっていたハルが嬉しそうな声をあげ、憂焔に手のひらを向けた。
そこに憂焔の顔が映って少し驚いたが、ハルは鏡だったということを思い出した。
覗くと、髪を髪で結んで大変なことになっている憂焔の頭がはっきり映っている。
「おい!何ができただ!なんだこれ!」
「あっははは!似合ってるよ憂焔!」