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「憂焔ってカオルと会ったことあるの?」
ハルが隣をちょこちょこと歩きながら見上げてきて、憂焔は買いあさった品物を入れた袋を担ぎ直し、首を傾げた。
「さあ。カオルって香壺のことなんだろ?覚えはないなあ」
その返事を聞いて、ハルは変な顔をした。
「おかしいな。憂焔は絶対カオルに会ってるはずなのよ」
「なんで?」
「香りがするの、カオルの香りが」
ハルはそう言いながら、憂焔に買ってもらった団子を口の中へ放り込んだ。
「ああ、そういや初めて会ったときにもそんなこと言ってたな」
「うん。でも、最初は香国の人間だからかなって思ったんだけど、よく考えたらこんなに香りが強いわけないんだよ。なんで?おかしいよ憂焔」
「なんで俺が悪いみたいになってるわけ」
宿にたどり着き、戸を開けると誰もいなかった。
まだ二人とも帰ってきていないようだ。
憂焔は袋を部屋の隅に置くと、寝台の上に身を投げた。
ハルもぴょんとあがってきて、憂焔の髪をいじり始めた。