「ふん。お前が悪いんだろう」
藤松は香蘭を見下ろして鼻を鳴らした。
香蘭が泣きだしても鈴を鳴らし続けていたが、それを止める者があった。
藤松は急に鈴を持っているほうの手を掴まれ、怪訝にそちらに目を向けた。
しかし次には驚きに目を見開き、鈴を取り落した。
「は、珀伶様?」
珀伶は黙って藤松の手を離すと、足元に片膝をついた。
そして泣き崩れる香蘭に腕をまわして抱き起した。
藤松の困惑しながら見つめる中、そのまま香蘭を連れて草地を離れた。
屋敷への道のりの間中、香蘭のすすり泣きの声だけが聞こえていた。
珀伶は屋敷に着くと、香蘭を自分の部屋へと連れて行き、香蘭を横にさせた。
そして自分も横になったが、眠るためではなかった。
香蘭の瞼がおちていくのを見つめる珀伶の視線を感じながら、香蘭は眠りに落ちた。