手を握られて少し落ち着いて、ハルが言った通りに念じながら足を動かした。
暗い闇はどこまでも続くようだったが、しばらく歩いているとまた光が見えてきた。
しかし先ほどの光よりは弱い光で、頼りなげに揺らめいているように見えた。
「出口よ。男がいるね」
ハルが光を指さして、香蘭は頷いた。光の向こうに香蘭を睨む藤松の姿が見える。
「そう。あいつと戦うふりしてハルを探しに行ったの。そうしないと鏡が使えなかったから」
ハルはにっこり笑いながら、リンの背中を押した。
「おかげでリンを助けられるよ。気を付けてね、すぐに皆でいくから」
「お願いね、ハル」
大丈夫。
ハルはきっと彼らとともに助けに来てくれる。
ハルに見送られながら光の外へ足を踏み出した。
香蘭の精神は鏡の中から抜けだし、もとの体に戻った。
途端、眩しい太陽の光に身を包まれ、暗闇にいた香蘭は目がちかちかとした。
「う…」
鏡の中にいたせいだろうか、軽い眩暈も起こって香蘭は地面に膝をついた。
その様子を藤松は訝しげに見ていたが、何かに気づいたようでさっと血相を変えた。