どこ行ったあいつ(大柄な男)

例えばいじめの穴場は、
体育倉庫。
俺は体育倉庫へと向かう。
「やだっ触んないで!んん!」

夢凪だ。
多分口を塞がれたんだろう。
体育倉庫は当たり!

  ガララ

「!」

倉庫内にはさっきの二人と夢凪と男が4人。

夢凪は服を脱がされてた。

「なにしてんだよ」

「あっあの」

「なにしてんだって聞いてんだ!!」

男達も一瞬笑みが消えた。

「大・・・田先輩やめて。」

大田先輩?

「お願いします。やめて下さい」

「なんでだよ。夢凪だってそんな格好されて」

「あぁ、これは、あつ・・・いからで」

弱々しく言う夢凪を見て、
何で俺はこいつを守れなかったんだろうと思う。

「夢凪。なんで笑ってんの?」

「だって、笑わないと、辛い・・・ですよね?」

夢凪は近くの男に問う。

「あ?あぁ」
男は戸惑いつつ、答える。

「みんな、そうなんですよ。弱い者を求めてるんです」

「だからってこんな状況で笑わなくても」

「私は自分が弱くなって他の人が
満足なら良いと思っちゃってます」

なんだそれ。
馬鹿だな。

「馬鹿だな、夢凪」

「ひど・・いですね」

あはは、と笑う。

「お前は、嘘が下手くそだ。」

「そう・・・ですか。」

「だけど、今は暑かったって事にしてやるから」

俺は全員を睨みまわす。

「次はねぇぞ」

全員その場からそそくさと消える。

俺は夢凪の首を見る。

キスマークがいくつかある。

どうせ夢凪は蚊に刺されたと言うにちがいない。

「夢凪・・・」

「先輩・・・なんで来たんですか」

「たまたま通った」

俺は笑いながら言った。

「すみません、寝かせて下さい。頭痛くて」

「その格好でか?」

「あぁもう暑くないですね」

「夢凪、ごめんな」

「なに・・・が・・・」

寝やがった。
ワイシャツが上半分開いてる
そんな無防備な格好で。

俺は夢凪の首にあるキスマークの上から俺のキスマークをつける。

その度、夢凪がびくんっとなる。
あいつらにもなってたのかと考えると、ムカついた。

「夢凪・・・ごめんな」

夢凪が寝てる間俺はずっと夢凪の傍にいた。