「‥‥一人だけど。」
「ほんと?!暇?!」
「‥‥暇。」
「よかったぁ~♪」
「何が‥?」
俺は理由さえ分からないまま、その子は嬉しそうに笑っていた。
「今ね、夏休みだから北海道に遊びに来たんだけどね、お母さんもお父さんもお仕事忙しいみたいで、一人になっちゃったんだぁ。」
その時、俺は『お父さん』という言葉に少し嫌悪感を抱いた。
「だからね、もしよかったら‥‥」
けれど、その瞬間。
「二人で一緒に遊ぼうよ。」
その笑顔に、俺は一瞬で惹かれた。
さっきまでの嫌悪感までをも忘れさせてしまうようなその笑顔に、
それまでとは全然違う、まるで『天使』のようなその笑顔に。