「ただいま……」


がらんと静まり返る

家に向かって

取りあえずの挨拶を済ます。


この歳になると

慣れてしまったが、

まだ幼かった頃は

このなんとも言えない

冷たい空間が、

とても怖くて

心の底から嫌だと思っていた。


少し前のバーゲンで買った

お気に入りの靴を脱ぐと、

私はそのまま

自分の部屋へとなだれ込む。


通い始めて4年目になる大学。


久し振りだから

というのもあるけれど、

今日は私の中での感情の起伏が

激しかったせいで

やけに身体が重い。