ふとその声の方へ顔を向ける。


「あ……」


その顔を見た瞬間、

自然と声が漏れてしまった。


そう。


さっきあの教室にいた敦が、

私の隣に立っているのだ。


小学校の頃の記憶が

全くない、

まるで別人のような敦が。


私の声に気付いたのか、

敦がゆっくりと顔を私へと向ける。


「あ、さっきの……」


敦はそう言うと、

今度は首を少しだけ傾げると

優しく微笑んだ。


そのあまりに優しい微笑みに

戸惑いつつも、

私は敦に倣って

小さく頭を下げる。