ソンナムカシノコト、

オボエテナイヨ―――


あまりに残酷なその言葉に、

私はしばらくの間、

動けずにいた。


“昔のこと”って、

あの時交わしたあの約束は、

敦にとって

意味のないのもだったのだろうか。


私との記憶も、

敦の中にはもう何も

残っていないのだろうか。


ふっと身体の力が抜け、

その場にしゃがみ込む。


『大人になったら、

 また会おうね。』


敦の口から言ったその約束は、

もうすでに

消滅してしまったのだろうか。


「なんだ……。

 私だけ、

 盛り上がっちゃってんの」


小さな声で呟く。


子どもの頃の約束を

この歳まで信じてきた自分が

惨めに感じ、

ふふっと自分に笑ってしまう。