「前に、

 お会いしたことありませんか?

 ずっと前に……」


その言葉に

敦は眉間にシワを寄せて

私の顔を睨みつける。


「キミと、前に?

 ……いや、そんなこと

 ないと思うけれど」


「え、でも……。

 小学校の時……」


敦の中に

私の存在がもうないのだろうか。


そんな想いを否定するように

必死になりながら

もう一度訊ねる。


しかし、

敦の口から出てきたのは

あまりにも残酷なものだった。


「小学校って、

 そんな昔のこと覚えていないよ」


そういい捨てると、

敦はカバンを手にして

教室を去っていった。