それなのに、

敦がわざわざこの大学を

選んだことを不思議に思う。


この大学は

そんなに有名じゃないし

総合大学でもない、

学力だってそこそこの

いたって平凡な大学。


たいした魅力なんてないのに、

敦がこっちへ

戻ってきているなんて

信じられない。


それよりも、

今まで3年間通っていたのに、

敦と一度も会わなかったのが

一番引っかかる。


今、同じ空間にいる彼は

本当に敦なのだろうか。


でも、私が

敦を見間違えることなんて

絶対にないはず。


色々な考えが頭の中を占拠し、

それからしばらく

講義に身が入らないでいた。