“はてな?”と首を傾げる私にマスターと呼ばれた男は名乗った。
「僕の名前は苑朶馨(ソノダカオル)。
宜しくね、依茉ちゃん」
苑朶と名乗った彼は私に手を差し出して来て握手を求めた。
ぷいっ、と私はそっぽを向く。
何か馴れ馴れしい感じがやだっ!
「あーらら、嫌われちゃったかな?」
それでも苑朶さんは笑顔を崩さなかった。
それが私の中の良心を突いて、結局は恐る恐る手を差し出した。
「此方こそ…
宜しくお願いします、苑朶さん」
身体中の神経は張り巡らせたまま。
「や、馨って呼んでくれて良いよ?」
「…遠慮しときます」
本当に、何だかなぁ。
青い瞳と長い金髪が白馬に乗った王子様を連想させる。
私の中の白馬の王子様は軽いイメージがあるから、苑朶さんもそんなイメージがたった今、定着した。