「カラコンだよ、カラコン。
何なら外して見せようか?」


人差し指と親指で円を作ってにこっと笑う。



「良いです、大丈夫ですっ!」



急いで首を横に振った。



何かこの人、苦手だ。
話すだけで悪寒が走る。
何でだか分からないし、失礼だとは思うけど…。



私は生唾をごくりと呑み込んだ。



「マスター、あんまりそいつの事
苛めないでやってくださいよ」



酒棚の陰から皐月くんがひょっこり顔を出して嫌な顔をする。



マスター?



って事はやっぱりこの人、この店のオーナーなんだ!




皐月くんに軽く睨まれたマスターは、へらっと笑った。



「はは、大丈夫。
取って食いやしないよ」



「当たり前です」



……?



何だか二人の間を流れる空気の糸が掴めない。