『君が依茉ちゃん?』



低いテノールの声はもう一度私の名前を呼んだ。



誰…?



徐に顔を上げると其処には皐月くんの姿は無く、代わりに見知らぬ男の人がいた。



これまた美形な顔の持ち主で、綺麗に筋の通った鼻に青い瞳、金髪の長い髪を耳の横で一束に拘り肩から流していた。



「えっ、あの…」



皐月くんと同じ前掛けをしている事からこの店の店員さんか何かだと言う事は分かる。



でも何故か私は冷静ではいられ無かった。



透き通る様な、ブルーアイ。



「が、外国人さんですかっ!?」



その場から後ろに飛び退いてしまった私に男はクスッと笑った。



「まさか。
生粋の日本人だよ」



「で、でもその瞳っ」



僅かに震える指先を瞳に向けると

“ああ、この目ね”


そう呟いて頷いた。