店の壁には額縁に入った絵画が飾ってある。
どうやら油絵みたいだ。
赤や青、奇抜な色で描かれた作品もあれば、緑や黄土色で塗り潰してある作品もある。
絵の心得が無いから、どの作品が良いとかは
ちっとも分からなかったけど店の中を彩る作品としてはぴったりだった。
黒い天井、埃っぽい床、お酒臭いこの空間に上手い具合にマッチしている。
店の奥から順に視線を走らせていくと、さっき店の正面から見た磨り硝子の小窓に目が止まった。
小窓からは外の薄暗さが良く分かる。
内側からは、はっきり見えるものだとは分かってはいたけど
実際に自分が目にしてみると何だか不思議な気分だ。
小窓から更に視線を横へと走らせると外で見た玄関のドアがあった。
これは内側から見ても鉄格子に見えるな、とぼんやり思った。
