「ふーん。
なら良いけど」



皐月くんが私に向けて来る視線。



それを受け取った私はドキッとした。



一瞬、皐月くんの目が何かを怪しむ様に
きらりと光った気がしたから。



「ま、取り敢えず来なよ」



皐月くんは私の腕を掴むと出て来たばかりの裏口へと向かい始めた。



「う、うん…」



慌てて後を付いて行く。



皐月くんは今朝と同じ黒いシャツに腰巻きタイプの前掛けをしていて凄く格好良かった。



首からは緩められたネクタイが提げられている。



このスタイルが店の制服なのかな。



ぼんやりと考えていたら、いつの間にか其処はもう裏口前で。



「俺の後に付いて中に入って」



皐月くんが後ろを振り向いて確認するかの様に私に投げ掛ける。