「ご、ごめんっ!

ちょっと道に迷って…」



「それ本気で言ってる?」



「ほ、本当だよ!」



確かに道草喰っちゃったかも知れないけど、それでも道に迷ったのは確かなんだし。



いじいじと地面を見据える私。



「はぁー…。

それにしたって遅過ぎ。
マジ鈍臭いね」



皐月くんは溜め息をつく。



「…すみません」



皐月くんが描いてくれた地図がアバウト過ぎるんだよー!



なんて、とてもじゃ無いけど言えなかった。



まぁ地図を上手く読み取れ無かった私も私だしね。



「…来る途中に誰かにこの店の事聞いた?」



え…?



その言葉に驚いて顔を上げる。



「な、何も聞いて無いけど?」



何となく鍋島さんの事は言わない方が良い様な気がしたから。



黙っておく事にした。