「み、店の前っ…」
皐、皐月くん怒ってる…?
びくびくしながら返答する。
『…了解。
今から外出るから』
皐月くんはそう言い捨てると携帯を切った。
プツッと回線が切れてツー、ツーと言う音が響く。
パワーボタンを押して携帯を二つ折りに畳んだ時だった。
「依茉」
店の左側の方から声がして私は顔を上げる。
其処には皐月くんが立っていた。
「ど、何処から出て来たの?」
てっきり店の玄関から出て来るとばかり思っていたのに。
戸惑う私に皐月くんは、
「裏口から出て来たから」
そう言って歩み寄って来た。
そうだったんだ、なんて思ったのも束の間。
「依茉、遅過ぎ。
俺に連絡してから何時間経ってると思ってんの?」
じろっ、と私を睨む。