「そうかい。
友達がねぇ…」
鍋島さんは不思議なものを見る様な顔付きで私を見る。
きっと、
“こんな平凡そうな子に良くバーなんかで働く友達がいるもんだ”
そう思われているに違いない。
「止めても、どうしても行くのかい?」
「はい、行きます」
そこは断固として譲らなかった。
「だから店の場所を教えてください」
凛とした口調で話す私。
それを目の当たりにした鍋島さんは折れてくれた。
「仕方無い。
店の場所を教えてあげよう。
但し、本当に気を付けるんだよ」
鍋島さんが私の肩を持つ手に力を入れる。
少し、痛い位だ。
でもそれだけ危険な場所だって事。
「はい、有り難う御座います!」
両拳を握り締めて頭を下げた──。
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