遠まわしに警告してくれているのだと。
でも…
もし私が今日ここで店に行かなかったら?
皐月くん、不審に思うかも知れない。
朝はちゃんと“行く”って言ったのに行かなかったら…。
それに皐月くんの素性を知るチャンスを自ら無駄にしてしまうの?
皐月くんの事を少しでも良く知って、何かあった時の為に備えておかなくちゃならないのに。
私が私である為に。
私が私を守る為に。
「友達が、其処でバイトをしているんです」
敢えて男の子だと言う事は伏せて鍋島さんに告げた。
「ええっ!
そりゃ本当かい!?」
鍋島さんは心底驚いた顔になる。
「はい。
だから行かない訳にはいかないんです」
“友達も多分、私を巻き込もうなんて思ってはいない筈ですから”
そう付け足した。