私はメモ用紙に目を落とすと、すっかり強張ってしまった背筋をピンッと立たせた。



廃墟の様なこの通路、遠くの方で車の走る音が耳に届いた時はまるで異世界に入って行く様な衝動に駆られた。



まあ、これから異世界に足を踏み入れる事はあながち間違いでは無いのだけれど。



歩いて行く度に段々、左右の道の幅が狭くなって行く。



何だか袋小路の様な作りの通路だ。



小走りで進んで行く内に、十字路に直面した。



メモの図には十字路に差し掛かったら左折する様にと矢印マークが書かれていた。



それに従って道を左折する。



同時に私は覚悟を決めた。



左折した先に顕れたのは、これまた小さな建物。



先程まで歩いて来た道とは比べものにならない、暗い空間。



その中で店の看板は緑の蛍光灯を縁に輝かせていた。



まだ昼過ぎ頃だと言うのに。