「知ってるも何も、此処等では有名な黒のお店だよ」
鍋島さんはそう呟いた。
「黒の、お店…?」
どう言う意味だろう。
鍋島さんの言っている意味が良く分からない。
きょとんと首を傾げる私に鍋島さんは続けた。
「もしかして依茉ちゃんは、此処等の住民じゃ無いのかい?」
「あ、はい。
大学が此処等辺で…
この商店街に来たのも今日が初めてなんです」
「通りで、知らない訳だ。
良いかい?
あの店の名前を何処から聞いたかは知らないが、悪い事は言わない。
あの店には行かない方が良い、お酒なら私がうちで安く売ってあげるから」
鍋島さんは私の肩に手を置いた。
怖い位に真剣な表情だ。
それよりも、今言った事。