でも、何で皐月くんが私の家を知って──
「あ、依茉の家なら鞄の中の生徒証明書内に書いてあったから…
タクシー捕まえて此処まで帰って来た」
私の聞きたい事が分かったのか、皐月くんはそう答えて笑ってくれた。
「っ、」
そう、だったんだ…。
でも、それじゃ何で…
「私、どうして寝込んでいたの!?
それに店を出た直後の記憶が──」
分からない。
何で思い出せないのか。
「記憶が無いのは、きっと一時のショックか何かでしょ。
お前、貧血で倒れたんだから」
「ショック…?
貧血…!?」
その言葉を聞いた途端、頭の中に浮かび上がったのは──
私の首筋に噛み付く皐月くんの姿──。
「あぁっ…!」
やっと何があったのかを思い出した。
みるみる顔が青ざめていくのが自分でも分かる。