そうだ、私…



和夏に誘われて合コンに行く際に、
カラオケの店の前で知り合った皐月くんに偽の彼氏役を引き受けて貰ったんだっけ。



ぼんやりと目の前の皐月くんの顔を眺める。



「気分はどう?」



皐月くんは私の顔を覗き込む様にして聞いてくる。



ああ、やっぱり優しいなー…。



何だか今までずっと悪い夢を見ていたみたいだ。



皐月くんが悪魔の様な顔付きで乱暴に私の事を掻き抱く夢。



変なの。



そんな事、ある訳無いのに…。



だって、目の前の皐月くんはこんなにも優しい。



「私、寝てたの?」



仰向けになってベッドの上に佇んでいたらしい私は上半身を起こして辺りを見まわす。



上を見上げれば白い天井。


左を振り返れば窓に掛かっているピンクのカーテン。