「あのさ。その沢城さんってやめてくれない?」


沢城さんって呼ばれ慣れないし、よそよそしいし、違う呼び名で呼んで欲しいみたいな?例えば慶吾先輩とかさ。

「?
沢城さんは沢城さんじゃないですか」

こいつに対して夢を抱いてた自分がバカでした。こいつが俺が言いたいことを理解する訳がないわな。

しかも自信満々に言ってるし。


「いや…まぁ。そうなんだけど。
つまりだ!俺のことは慶吾って呼べって言ってんの!!」


俺は何を偉そうに言ってんだよー。

しかもその証拠にあいつの口がポカンと空いてるし!


「えーっと…」

あいつは考える素振りを見せたと思ったら、


「じゃあ…慶吾先輩?」


俺が呼ばれたいと思った呼び名を呼んだ。しかも、上目遣いで。


こいつ…危険だ!
何を上目遣いで呼んでるんだよ!!他の男だったら襲ってるって。

不覚にもその姿にドキッとしてしまった。

「お前。授業始まるからいけよ!あとまた明日も同じ時間に来い!コレ。命令だからな」


照れ隠しでそう言うとあいつは『気が向いたら来ます』と笑いながら言うと校舎に戻っていった。