「大丈夫ですか?」
そう言って、真っ先に私に声をかけた碧。
その表情は何故かとても悲しそうだった。
「俺は平気…」
「雪兎は俺のだから」
お客様に向かってそう言った。
確実に私の手を握りながら。
それにはお客様以上に、私が驚いた。
「礼央と遥香、あとお願いしてもいいですか?」
「はい」
動揺を隠すため、2人に残りをお願いしてそのまま裏へ。
とりあえず、タオルを碧にも渡す。
そしてシャワーにでも入るようにと、シャワー室の扉を開けた。
「大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
まるでこの強がりを見抜いているかのように、じっと見つめられて私は目線を逸らして言った。
本当は身体の震えを止めるのに必死で、立つのもやっと。
本当は怖かった…なんて言えるわけもなく。