どうしよう…そう思っていたら電気がついた。
私はそっと彼から離れた。
「あ、ついた。大丈夫でしたか?雪兎さんと碧さん」
礼央が心配そうに近づいて来た。
その横には涙目の遥香。
ああ、女の子だなあなんて思ってしまう私は、女じゃないのかもしれない。
「俺達は大丈夫だよ」
碧はそう言った。そして、何も無かったように位置のズレたテーブルを直していた。
誰にも言うつもりはないらしい。
でも、お礼くらいは言わなきゃな。
それからカウンターで碧と2人きりになった。
礼央と遥香は片付けをまだやってくれてるようだ。
「あ、ありがとうございます」
そして、少し頭を下げて下を向いた。
なんとなく気まずくて、そのまま固まっていたら、くすっと笑い声が聞こえた。
え?
まさか!?と思って頭をあげて、碧を見ると確かに彼は笑っていた。
それはもう、とても輝いていて私の心臓がまた音を立てた。
「無理しないで」
そう言って頭を一撫でして、カウンターから出ていった。
私はそれをただ、見つめるしかなかった。
初めて、彼への恋心を自覚した時だった。