「それ、香水?」

「あ、これ、嫌いかな? クサい?」

 そういえば父親にも匂うって注意されたな。最近少しつけ過ぎてるのかも。

 舞は戸惑ったような表情をした。



 ――ん?



「えっと、そうじゃなくて……、嫌いじゃなくて、むしろ……」



 ――もしかして……照れてる?



「そう。それならよかった」

 思わず笑みがこぼれる。それが嫌味な顔にならないよう気を遣った。



 ――なんだ、そうか。……そうなんだ。



 俺は納得した。そして心の奥底から安堵した。

「ごめん、痛かったよね」

「別に、もういいです」

 ――優しいね、舞ちゃん。

 そう強がって言う舞がどうしようもなくかわいいと思ってしまった。さっきはもう二度と悪戯するのはやめようと思ったが、やっぱり、と考え直す。