「なんで、陸」
「ごめん」
「あたし馬鹿だからよく分からないよ、ねぇなんで、」
「ごめん、絵梨香」
「陸っ、」


また夢を見た。嫌な思い出ほど思い出しちゃうのはなんでだろうね。忘れようとすればするほど陸が消えてくれない


◆◇



「あ〜お〜い~!」
「絵梨香!おはよ!」
「おはよ!」

朝から葵の笑顔で私は癒される。例えどんな夢を見ようと葵の笑顔でそんなものは吹き飛んじゃうんだ。
正直葵とは趣味が全く合わない、お互いに好みも全然違うけど笑いのツボが一緒だったり気心が知れていてとても楽しい。
二人仲いいねと言われたら恥ずかしくて否定しちゃうけど本当は一番の親友だと思ってる。

「絵梨香!放課後遊びに行って帰るよ!」
「えぇーいきなり、」
「良いから行くったら行くよ!」

それから葵はあたしに気を使ってくれたのかあたしの好きなブランドの店に行ったり、あたしの大好物のラーメンを食べに付き合ってくれた。
やっぱり友達と一緒にいるこの時間がたまらなくあたしは好きだ。

気づいたらもう夕方で1人で町中をブラブラしていた
気づいてしまったんだ。
あたしが陸との思い出の場所ばかり歩いていたことを

どうしてあたし達別れちゃったのかな
何が駄目だったんだろう
陸とは住む世界が違ったからだろうか
陸が芸能界入った時に覚悟はしていたのに

どうして

せっかく葵が誘って元気にしてくれたのにダメだな、あたし
ネガティブな考えが止まらないよ

町の丘の上で1人でベンチに座り俯いていた。
真っ赤に燃えるような夕陽が沈みかけ、町中に明かりが灯り出す。