女は満足した顔をして、教室から出ていった。


………最悪。


これじゃあ、他のヤツらが煩ぇじゃん。


もうアイツと関係切ろ。


女はめんどうだ。


なんで女を一人に絞らなくちゃいけない?


誰がそんなこと決めたんだよ。


彼氏とか、彼女とかめんどくさいだけだ。




そういうのがめんどうだから、女は彼女は作らない。


つか、いらない。


楽しければいい、それだけ。


───キーンコーンカーンコーン…


教室から出ようとしたら、授業の始まるチャイムが鳴った。


授業始まったのか……。




今から出るのはめんどくせぇな。


確か……英語だっけ?


この時間。


英語の教師は女だから、平気だな。


よし、サボろう。


俺はそう決めてサボるために自分のクラスとは反対にある保健室へと歩きだした。




《さくらside》


「───…“好きです。よかったら俺と付き合ってください。”だってさ!」


「……え、なにが?」


あたしの前の席に足を組んで座りながら
親友のナミちゃんが手紙を読んだ。


「なにって、さくらの机の中に入ってた手紙に書いてあったことだよ!」


「えぇ!?そんなこと書いてあったの!?…ぅっ……」


今日学校に来たら、机の中に手紙が入っていた。




そこには、男の人らしい字で
『三橋叶多より』と書かれていた。


「三橋くん、結構モテるよー。優しいし。付き合っちゃえば?」


あはは、と笑いながらナミちゃんは言った。


そんな………。


「無理だよ…。あたし、三橋くんのこと全然知らないし…話したこともないのに……うっ…」




「まぁ、さくらがそう言うならしょうがないけどさぁ…」


「…うー…」


「あのさ、思ったんだけど……さっきからなんで唸ってんの?」


ナミちゃんは不思議そうな顔をしている。


だって……


「生理痛で、お腹痛い……」


女の子は大変だよぉ……。




「あらら、薬は?ないの?」


「忘れたぁ……うー…」


いつもより酷い痛みだ。


「大丈夫?顔色悪くなってきてるよ?」


「う、ん……多分…」


ああ、痛いー……。


「さくら、保健室行きなよ。付いていってあげるから」




「……そうする…。ありがとう…」


これじゃ授業に集中もできない。


あたしはナミちゃんと一緒に保健室に行くことにした。


「───……さくら?どうした?」


ナミちゃんと保健室に行こうと立ち上がったとき。


あたしを呼ぶ声がした。




「……悠ちゃん…うっ…」


「おいおい、大丈夫かよ?」


フラつくあたしを支えてくれているのは、
あたしの中学からの友達の、本名は菊池悠哉。


優しいのだよ~…。


って、そうじゃなくて保健室っ……。


「悠哉、さくらね、生理痛でお腹痛いんだって」


「あー…そういう感じね…」