しばらく公園でボーッとしていた。

だいぶ時間が絶ったみたいだ。さっきまで四角のキャンパスが青色のクレヨンで塗り潰されていたのに、今はほんのり赤らめた色に変色している。
何にも考えたくないのに次から次へと色んな言葉が頭の中で行き来している。
何にもしたくないはずなのに鞄からノートとペンを出してその言葉達を書き綴っている。


《空は青く 街は慌ただしくて
雲1つも出てなくて 涙さえ流れなかった
固い道の上をこれから歩いて行こう 独りで…。》


何を書いても気分は晴れない。
人目も気にせずドラマのワンシーンみたいに大声で叫んでみた。犬の散歩をしていた人達はビックリして振り向いている。
だけど胸の痛みはまったく消えてくれない。
今、泣けたらどんなに楽になれるだろう。



『♪〜”』


今の気持ちと正反対に軽快なリズムで胸ポケットに入れていた携帯がなっている。

【★リョウコぉねぇ★】

薄暗いなかで携帯のディスプレイに映し出されているのは5コ上の兄貴の女友達だ。
本当はものすごく優しい人なの。私を妹みたいに可愛がってくれる人。
だけど、本心あんまり関わりを持ちたくない人でもある。

私はなりやまない携帯に耳をあて、電話に出た。