この一時。
幸せな時間、穏やかな空気が部屋いっぱいに充満している気がする。
馬鹿げているこんなやり取りが楽しくて仕方がなかった。


「今日泊まってもいいですか?」

「うちは全然いいけど美咲ちゃんは家に連絡しなくていいの?」

「いいです。私いらない子だから。」

「はぁ〜?マジ意味わかんねぇ。」

「じゃぁ今日お邪魔させていただきまぁすっ!」

「どうぞ、どうぞ。亜美寝ちゃったし起こすと悪いから俺の部屋で2次回でもするか?」

「でも、酒もうないよ。」

「じゃぁコンビニまで歩くか。」

「賛成っ!」


私達は近くのコンビニまで歩いてお酒を買いに行った。私は思ってた以上に酔っていたらしく真っ直ぐ歩く事ができなかった。


「美咲マジ飲み過ぎだからぁ〜!」


何気なしに呼ばれた『美咲』って名前。さっきまでは『美咲ちゃん』だったのに。
さりげなく繋がれた私の左手。危ないからだとしてもドキドキしてしまう。
心臓の音が大きくなって早くなった。
酔っていて赤い顔がもっともっと赤くなってしまった。
どうかばれません様にっ!


「あれぇ〜?!尚人じゃんっ!久しぶり。」


前の方から背が高く一般的に美人だと言われる大人っぽい女性が大きく手をふってきている。


「おぉ〜美奈子じゃんっ!久しぶり。」

「なになにもしかして尚人の新カノ?手なんかつないじゃってっ。」

「違うからっ!亜美の友達。
こいつ俺の元カノ。」

「ろうも。初めまひて…美咲れす。よろひくれす…。」

ドキドキしすぎて酔いが一気に回ったみたいだ。ろれつが回らない…。
それにこの気持ちなんなんだろう。胸が締め付けられみたいに痛い。
さっき会ったばかりの尚人。
ヤキモチ?恋?ただ酔っていて何かが混乱しているだけなんだろうか…。


「じゃぁ、またなっ!俺等今から2次回なんで!」

「あっそっ!じゃぁラブラブにぃ。」


なんだか馬鹿にされた気分がした。