10分もしなぃくらいでリョウコおねぇは家に来てくれた。
私は黙ったままリョウコおねぇの単車の後ろにまたがった。リョウコおねぇもあえて何も聞いてこなかった。

「着いたぞ。下りなっ!」

「ありがとう…。」

「タカにあんま心配かけんじゃねぇぞ!」

そう言いながらリョウコおねぇは部屋の中に入って行った。私はその背中を追いかける様に小走りで続いて中に入った。

その日から3日間。
私は部屋を一歩も出ていない。家にも帰らず学校にも行かずに、私はずっと他の世界に行っていた。


「美……。咲…。美咲…。」

誰かが私を呼んでる。何度も何度も繰り返される私の名前。
今にも泣き出しそうな、だけどどこか怒っているような声で私を呼んでる。


「おい!しっかりしろっ!美咲!」

タカにぃ?
私は夢から一気に現実へと引き戻された。


「お前、何やってんの?!」

現実に戻って来た瞬間一気に体が重くなった。それと同時に堪えていた涙が一気に放出されたみたいだ。


「ぅっ…ごめんっ…なっ…さぃ…っ。」

「はぁ…。泣きたいだけ泣け。叫びたいだけ叫べ。」

兄貴は深いため息をつきながらも支えの言葉をくれた。

「つら…っ。私……辛っ…ぃっ…。
何で…?
どぉしてっ…おかんとおとんは私を見てくれないのっ…?何でっ…兄貴達ばかり可愛がるの?
私っ…産まれてきちゃ…いけなかったっ……の?………
もう…死にたいょっ…ぅっっ……」


久々に自分の気持ちを口にした気がする。

「気ぃすんだか?もう帰るぞ。」

「嫌だ!あんな所もう帰りたくない。あんな人達の顔なんてもう見たくないし、声だって二度と聞きたくない!
私は帰らないっ!…。」

「…。好きにしろっ!」